聖夜 明滅する命/いねむり猫
い街の兵士たちよ
ただ 一途に生きるだけの 太い理由を失い
いとおしい今の
かけがえのない一度たけの生を 感じることのできない
甘やかされた私たちよ
なぜ生きるのか 問うことを恐れて
快楽の海に浸り 苦痛から逃れ続けている
私たちの命よ
他人の死がすぐ傍にあっても 空洞の体に 共鳴はなく
愛する人のかたわらにいても 生に何も満ちてはこない
ただ 恐怖によってのみ
かすかな命の方向をさぐりあてては 悲鳴を挙げている
盲目の集団よ
命は 本当に尊いのか
命は 等しく祝福されているのか
命は お互いが殺しあう以上の あり方があるのか
命を
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