聖夜 明滅する命/いねむり猫
れでも 次の鼓動を続ける老婆の視線よ
命よ 羊水に進入するニコチンと甘いアルコールに浸され
パチンコの騒音の中で 胎盤にしがみついている 疲労した胎児よ
命よ 身動きのできない囲いで死を待つだけの
夜明けの光を一度として浴びたことのない
無菌の鶏たちの 互いに呼び交わすささやきよ
命よ 霜に凍りつく花弁に 蜜を求め
ねじれてしまった羽を震わせる 老いた働き蜂よ
命よ 暗い鉱道に今日も追いやられ
ずるい母の励ましにすがる 幼い鉱夫の濡れた瞳よ
命よ 目的を失い 次の命をつむぐこともなく
無数の命をむさぼり続け 遠くの砲声に震えるだけの
若い街
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