死者と私の為の夜/salco
 
しがきらきら輝いている 
 私の胸の中にはいつまでも世界が残り、人が生きている
 此処こそは永久の住まう場所、飛べぬ渡りの鳥どもの安らう国
 若かったあの人との年月は全部、此処にしまってある
 あの人と逢う時は、私もいつも若いまま 
 其処こそは、まなざしと微笑みを交わす場所
 年月は少しも年を取らず、衰えもせず、欠けもせず汚れもせず
 冷えも病みも消えもせず、ほら、あの人は彼処に生きている
 私が呼べばいつでも応え、この手を包み込み声を聞かせてくれる
 震えていれば引き寄せ顎の下にかき抱いて守ってくれる
 廻り来て顔を覗き込み、甘やかな音楽と温かい息を吹きかけてくれる
 手
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