『しろう』-永遠未完小説-/しろう
 
記録装置)に頼らざるを得なくなりました。わたしたちは短期記憶や意味記憶及びエピソード記憶を全てストレージに預けて、脳内には「因果律記憶」のみを採用しました。原因があって結果がある、それだけです。ごく簡単に述べるならば、「AがBであり、BがCであるならば、AはCである」といった図式から、「aをbするとcになり、aをd状況下でbするとeになる。aをd状況下でf因子によってbするとgになるが、h変数を加算するとiになりうる」といった因果関係までを脳内に蓄えることになります。そして、わたしたちはその因果律のいくつかを選択することによって巨大ストレージ内で情報検索し、その情報をもって巨大ストレージ上の仮想メ
[次のページ]
戻る   Point(0)