『しろう』-永遠未完小説-/しろう
 
習型AI(人工知能)プログラムを組み上げる。物質そのものを時空間転送するタイムマシンを製造することは「わたし」個体の能力では不可能だが、データとしてのプログラムならば、過去に送ることは技術的に可能だ。情報空間に擬似的なワームホールを生成し、その穴にデータを通過させればいい。



そこでまず「わたし」は「わたしの名前は○○です」という簡潔な自己翻訳文書データを西暦21世紀に送る実験を試みる。そうして改変された過去を観測し、自分の名が21世紀の日本語で『しろうるり』と発音されることを知る。あるいは改変された未来で「わたし」が『しろうるり』という名前に変わったのか。ニワトリが先かタマゴが
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