ジョーイとロザリー/ホロウ・シカエルボク
 
を確認したときにはジョーイはもう列車の中にいた、老婦人に嘘の事情を話し(妹が重い病気と聞き、慌てて寮を出てきたので財布を忘れた、一刻も早く故郷に帰りたい)、いくらかの金を借りていた、疑えばいくらでも疑える嘘だが、ジョーイが言うと嘘には聞こえなかった、「妹さんの無事を祈っているわ」と老婦人はホームまで彼を見送りに来た


数日後、ジョーイは生まれ育った家にやって来た―どこで手に入れたのか、フードの付いたコートを着て顔を隠していた―もっとも、顔を出していたところでもう誰もそれが彼だとは気付けなかっただろうとは思うけれど―家は空家になっていた、扉には「売家」と書かれた看板がかかっていたがそれはも
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