ジョーイとロザリー/ホロウ・シカエルボク
はもう役に立たないほど色褪せていた、ジョーイは扉に手をかけた、それは簡単に開いた…ジョーイは合鍵の隠し場所を知っていた、実際に使ったことはなかったけれど―玄関脇に並べられた使っていない小さな鉢の右から三つ目―それはあのころと同じくそこにあった、ジョーイは鍵を開けた、ドアを開き、ただいま、と言った、父親と母親がおかえりと口々に言うのが彼の耳には聞こえた、彼は微笑を浮かべたままとんとんと軽い足どりで階段を上り―上るごとに彼はどこか子供に帰っていくみたいに見えた―まるでそこに待っている誰かが居るみたいにまっすぐに屋根裏部屋を目指した、「ロザリー!ロザリー?」彼は叫びながら屋根裏部屋のドアを開けた、血まみれで彼を振り返り嬉しそうに笑うロザリーの姿が、ジョーイには、見えた―「もういいよ、ロザリー!」ジョーイは叫んだ、そして、フードの付いた重いコートをさっと脱ぎ捨てた
「僕の番だ、ロザリー!」
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