ジョーイとロザリー/ホロウ・シカエルボク
 
った―そこには窓がなく、監視員も気を抜いていた―ジョーイは音もなく、換気口の覆いを外し、ダクトを通って建物の外へ逃げたのだ、道具をどこかに隠し持っていたのに違いなかった、身体検査は型通りのものでしかなかったから―ジョーイは模範生で、何かを企んでいる素振りなど少しも見せなかったから―すぐに各方面に連絡が行き、周囲の捜索が開始されたが、誰もジョーイを見つけることが出来なかった、捜索が開始された頃には、ジョーイはそのあたりには居なかった、彼は駐車場で重そうな荷物を苦労して車に積み込もうとしている老婦人を手伝い、その礼として駅まで送ってもらっていたのだ―監視員が個室のドアをよじ登り、中に誰もいないことを確
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