ジョーイとロザリー/ホロウ・シカエルボク
 


黴臭い屋根裏部屋の壁に残るいくつもの傷は昔、幼い兄がもっと幼い妹を数百回刺して殺した跡…妹は、痛いと言えなかった、それが兄との約束だったから、大好きな兄との約束だったから(いいかい、これから僕がいいと言うまで絶対に痛いと言っちゃいけないよ、もしも約束を破ったらロザリーとはもう二度と口を聞かないからね、じゃあ、始めるよ!)妹は絶対に声を上げなかった、大好きな兄が絶対と言えばそれは絶対なのだ、絶対に絶対に絶対に絶対なのだ、妹は喉を締めつけて声を殺した、涙をぼろぼろ流しながら、かたく目を閉じて、早くそれが終わってくれることを願っていた、それは終わった―彼女自身の死で―もしも禁忌を破って声を上げて
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