K/salco
子供達も懐いていたと
元ホームステイ先の医師夫妻の厚意により
プロテスタント教会で告別され
かつてキング牧師も入っていたような
東洋人には不釣合な棺に納まりエンバーミングを施され
ニ十三歳には不釣合な厚化粧と
滑稽なライトブルーのスーツで横たわる姿は
まさしく五十年後に迎えるべきていたらくだった
それさえ炉に入らぬという葬儀屋の
進行至上主義的憂慮により早速引きずり出され脱がされて
経帷子を着せられ格段に粗末で窮屈な白木の箱に詰め直されて
早一年
日本社会の規格に合わぬ、太陽の如き放蕩息子の骨壺はまた
最も不釣合な、ひなびた小寺の片隅の
真新しい墓石の下に安置されている
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