K/salco
いる
チャーミングな童顔と天与の無邪気に恵まれた
アメリカかぶれの、青年と呼ぶさえ早過ぎた若者の死に
母国で用意されたもの全てが不釣合だった
何故ならKは、この空の下にはいないのだ
彼の地で
自分のフロンティアを続けている
逆縁などというじめついた悲嘆はひとまたぎにして
十七回忌に
まる十六年の間に
赤ん坊が、車中マスカラ塗りに没頭する若い女に変貌する
それだけの充分な歳月が風のように消えたのを彼岸で知らぬげに
己が姪の恋人と言ってもおかしくはない二十三歳の叔父はこうして
まる十六年もの間
モノクロ写真にとどまったまま屈託なげに笑い続けている
白
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