砂上のひと/恋月 ぴの
 
ゾウさんの鼻先あたり
あるべきものが無いというか
腰の高さでぐるっとフェンスに囲われていた

ご丁寧にも幼い好奇心を遮るシートまでかぶせてある

わざわざペットを囲いのなかへ入れて
おしっことかさせる飼い主いるらしいしねえ

誰もいなくなった夕暮れの公園
砂場には誰かの置き忘れたスコップとバケツが寂しげで

そんな光景って記憶のなかに残るだけとなってしまったのかな

幼い頃、私が砂場で作ったもの
それはお城だったり
秘密の王国へ通じるトンネルだったり
できたと思ったらイジメっ子な男の子に壊されてしまうのだけど

いつものように泣きベソかいてると
どっからかカ
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