砂上のひと/
恋月 ぴの
かカレーの美味しそうな匂い漂ってくる
だるまさんがころんだ
おなかがぐうっとなっちゃって
おんなの子だって袖口で鼻水なんか拭っていたけど
いまどきの夜空は街路樹に飾られたLEDの眩しさに遮られ
いつから息苦しくなったのかな
もっとおおらかさあったような気がする
砂の上には楼閣さえ造り得なくなって
それでも訳知り顔じゃすまされないのは判ってはいても
私のせいじゃないけどさ
吹き抜けた木枯らしに首をすくめて帰りを急ぐ
戻る
編
削
Point
(19)