砂上のひと/恋月 ぴの
 
かカレーの美味しそうな匂い漂ってくる

だるまさんがころんだ

おなかがぐうっとなっちゃって
おんなの子だって袖口で鼻水なんか拭っていたけど

いまどきの夜空は街路樹に飾られたLEDの眩しさに遮られ

いつから息苦しくなったのかな
もっとおおらかさあったような気がする

砂の上には楼閣さえ造り得なくなって
それでも訳知り顔じゃすまされないのは判ってはいても

私のせいじゃないけどさ

吹き抜けた木枯らしに首をすくめて帰りを急ぐ




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