夏の公園/いてゆう
 
でやってきた
時々 図書館の椅子で本を読んでいるときもあった
長い長い物語を読んでいたのだろう
周りは 桜の木で囲まれ細いウエストライン
蝉がよく死んでいた
(蝉は死など恐れない)
両眼に紅い花を刺し
唇は日付変更線
トンネルを潜り抜け
頬には金星に近い光を流し続けていたけど
本心は分からない
(それとも 分かりきっているか)
水が欲しくて蛇口を捻ったとき
滴る
水平線みたいだった

円柱列が続く
帰り道の途中 うっかり
透明の針を落としたところ
雨など降らなかったから 窓をしっかり閉められて
地下は円盤みたいに回転していて
無数の 土の子が走り回っていた
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