チアーヌさん「かわいい匂い」に関する私見/佐々宝砂
 
を最初に読んだとき、私はわりと単純に、うん、なかなかいい詩だねーと思い、ポイントを入れようとした。しかしなにやらひっかかるものを感じ、読み返した。ひっかかるのは後半ではなく、前半だという気がした。それで再々度読み返した。それでようやく、「かわいい」という言葉にひっかかったのだと気付いた。しかし、後半二連の出来は、うらやましいくらいだと思った。

 「わたしの内臓の匂いがした」生き物は、文字通り、現実的な意味でも、「わたし」の分身である。「わたし」を愛することができない人は、「わたしの内臓の匂いがした」生き物をそう容易には愛することができない。しかし逆に、「わたし」を愛することができる人なら、自
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