チアーヌさん「かわいい匂い」に関する私見/佐々宝砂
 
るべく自分の行為を後悔しないことに決めているので、若いころのバカな行動のことも後悔したくはない、それはそれで私に必要なことであったのだと考えることにしている。とはいえ、そのバカゆえに知ることができなくなってしまったもの得られなくなってしまったものはある。それはもちろん自分の子どもというものであり、子どもを持つということにまつわる感情や、親になったという気分や自覚である。

 というわけで、先に断言しておく。私には、親の気持ちなんぞわからん。母親の気もちなんか知らん。私は冷たい石女である。そんなことは自分で知っている。だから、作者チアーヌさんや、そのほかの母親のみなさんにひとつだけお願いしておき
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