陪席する触媒/木屋 亞万
人が白く光って見えたとき
その場にいた多くの人は自分の目を擦っておりました
馬鹿みたいにみんな目をゴシゴシしていて
作り事のような光景でしたが
目に張り付くような白が
目の疲れによる霞みやゴミか何かだと誤解されたのでしょう
しかしその男は本当に光っていたのです
何かを叫びながら最初は顔が赤くなって白い泡を飛ばしていたはずなのに
気がつけば白く輝きながら赤い火の粉を散らしていました
勘のいい者はその様子を見て「ああこれは爆発するかもしれないな」と思ったでしょう
鈍いものは「怒りを爆発させている」と思うだけだったのでしょうが
被告人はまだちっとも爆発などしていなかったのです
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