陪席する触媒/木屋 亞万
 
制裁判のときなどには彼女は陪席になっていました
そして陪席であるにも関わらず
彼女は被告人に怒鳴りつけられたのです

それも裁判が始まるか始まらないかのうちに
被告人は顔を真っ赤にして口から白い泡を飛ばしながら
何やら叫びだしたのです
裁判長を一切無視して
ただひたすら彼女を充血した目で見つめておりました
爆発したように怒る被告人は白く閃光を放ち
ピカピカドンドンわめいておりました

本来なら誰かが被告人を制止したり
場の調整をはかったりするのでしょうが
誰もがその様子の奇妙奇天烈さに不意をつかれたものですから
ただ立ち尽くして被告人を眺めていたのです

被告人が
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