毒虫/ホロウ・シカエルボク
 
こんな日に、日差しに炙られて死ぬだなんて―!私は笑いだす、最初はこらえていた、だって、こんなところで大笑いしていたらきっと、頭がどうかしている子だと思われるから…だけどすぐにこらえ切れなくなり、私は大声を上げて、のけぞって笑った…ベンチの背もたれが肩甲骨のあたりに食い込んでいたむくらいに…そうしているうちに垢ぬけないロック・バンドのドラムスのようなエンジン音と、ヘビー・スモーカーの男が容赦なく香水を振りかけた自分の背広みたいな臭いの排気ガスの臭いがして…だけど私は笑いを止めることが出来なかったので、ドアを開けて不思議そうな顔をしている運転手に、「かまわないから行って」というゼスチュアをした、運転手
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