毒虫/ホロウ・シカエルボク
いからだ―私が見つめている路面の少し先、放置された空缶の向こう側に、祈りのようにきちんと結ばれたルーデサックがある、ついさっきまではそれに気がつかなかった…肌に近い血管を切った時に少し滲む血のような薄いピンクのゴム状の袋の中に、そう遠くない昔に放出された誰かの精液が所在なげに横たわっている…こんなところでしなくてはならないくらいおさえこまれていたのか、それともなにか他の理由があるのか、パンプキン・パイのようにそれは黄色い―それに散々飛び交っている土埃がおかしな斑点をつけて、まるで強い日差しに力を奪われてなすすべなく死んでゆく一匹の毒虫を思わせる、私は笑いだす、毒虫だなんて…!震えあがるほど寒いこん
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)