毒虫/ホロウ・シカエルボク
 
ている、冬の風はハリウッドの俳優のように力いっぱい活動するので、たくさんの埃が舞う、私のまぶたはいつでも少しぼんやりしているせいで、それら舞い踊るものたちの侵入をあっけなく許してしまう、そうして私はぽろぽろと涙を流すのだ、まるでなにか耐えがたいほどの悲しみに襲われたみたいに、声も出さず、表情もなく、ただぽろぽろと、ぽろぽろと、泣いてしまうのだ、まるで最後の一日における後悔と浄化をいっぺんに知った時のように…私はバスを待っている、多分そうなのだと思う、だってそんな理由でなければ、こんな強い日差しの中、日よけすらないバス停のベンチに腰をおろして、埃まみれの路面をじっと見つめている必要などひとつもないか
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