出発/天野茂典
ている、それをだれも干渉とは呼ばない。楔形に打ち込まれた繊維質の微生物。毛根のように立ち泳ぎする細胞核。卵白は横暴だ。黄身がいい。いちめんの黄金ーー光をはじいて、海水深くまでまで魚影探知機を作動させる。いずれにしてもこの循環律からのがれられはしないのだ。ここは閉塞病棟なのだ、病んでしまった時代の落胤。タマガワホトトギス。飛び魚が盛んに湾をジャンンプしている。そのうちここは飛び魚の集会場になるだろう。
腐乱し、殲滅した繊毛の密集した荒野に立つ。
路線バスが去った後でも、落ち葉は朽ちて踏みつけられるのだ、なんらの感傷もない。山の中のちいさなバスターミナルは、唯一の外界への脱
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