出発/天野茂典
 
の脱出路なのだ。いちまいのカードヲダシテ、ローカルな路線を街へ侵入するのだ、すべてはそこから始まることになっている。どんなに胸がときめくだろう。ミソサザイの紫も。時代閉塞の壊滅的な滅亡もすくわれル野田。磯の香よ、海よ、立ち去った後のぼくらの影を灯油をかけて燃やしてくれ!ぼくらは出てゆく。世界へ、そうしてぼくらは新世界へ、遅いけど8時52分のバスに乗って、
旭日を浴びるのだ。もはや苦い航海も、後悔も、あとくされもない。ぼくらは自由だね。
どんなに君の髪が乱れてぼくらを絡めとろうとしても、ぼくらはぼくらのひとつの意思で
バスのステップに足をかけたのだから・・・・海藻よ、藻よ!




            2004・10・27

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