今宵 演奏会/砂木
ではなかったが 空席が目立つほどでもなく
十代から六十代までの団員の方々が舞台で演奏をしている
父母の隣りに座り 私は演奏よりも甥を見ていた
大丈夫かなという気持ちの方が音楽より強かった
しかし 各団員の人々が練習を重ねた音の前に
いつしかゆっくりと音楽を受け入れ
仕事でのつらかった事なども癒されて
演奏会という滅多に行かない楽しみに くつろいで笑った
甥のソロは 最後の方だった
アレンジにはセンスがでるそうで やっと決めたと言っていた
もし その音が正解でも間違いでも 私にはわからない
やっている人でなければ わからない違いだと思う
私にわかるのは 決死の意気込み
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