蒼い唇 ☆/atsuchan69
 
息も乱れ、瓦礫の町を彷徨えば
徒(あど)なく見あげる空は燃えさかり、
逃奔する馬、羊、火を吹くF‐35ライトニング?
目視の肩撃ち式スティンガーに撃墜された、
――あれは有翼の機械獣。
 やがて地獄の淵から立ちのぼる
火炎で焼かれた屍の、ひどく邪まな匂い

 戦闘にあけくれる野郎どもの罵声と、
 乾いた瀝青の道が戦火の彼方までつづく

元気よく隊からはみだした
堅牢かつ残忍な兵士であるこの俺の
逞しいブリキの心が荒馬の干肉を食らい、
小羊のあばら肉を食らい、敵のはらわたを食らう

 見ろよ、憎しみの大地が沈んでゆく
底なしの奈落に旧く狡猾な年月がくずれ落ちる

[次のページ]
戻る   Point(12)