巻き戻しか、それとも早送りか/ホロウ・シカエルボク
 



歩道に溜まった雨粒が静かに夜を抱いている、口笛はマイナーセブンスを僅かにフラットしてる、君の左の袖口は少し濡れている、僕の右の袖口と同じようなセンチで
コンバースの爪先に空き瓶がぶつかって打ち込みのスティールノイズみたいな音を立てる、君はびっくりして首をすくめる、僕は苦笑して肩をすくめる
僕と君の心はまるで、ミラーボールのシステムみたいだ、1秒たりともおんなじ色に留まっていることがない、きらりと瞬いたと思ったら、静かに俯いてたりする
人気のない交差点の歩行者用の赤い点滅信号の下に立ち止まって速い車が時折駆け抜けてゆくのを彫刻のように見ていた、アティチュードにこだわり過ぎるカ
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