フリー・フォール/ホロウ・シカエルボク
血の染みがあった、さっきの、俺の顔をしたヒトデが接触した場所だ、ウィークポイントのようにそれは赤々としていた、俺はその点を見つめた、それを見つめているうち、その中に溶けていきそうな気がしていた、じっと意識を集中してみた、集中して、それだけしか見つめないようにした、すると、それはひとつにもふたつにもなった、やがて無数の点となり、部屋中を埋め尽くした、俺は溺死してしまうのではないかという気がした、溺死という概念の中で窒息してしまいそうな気がしていた、時々、点は壁面を抜け出し、俺の額や眼球を矢のように突っついて遊んだ、俺は叫び声を上げた、だけどそれはどこにも届くことがないのだ、初めに言った通り、ああ、と
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