鬼になった子供(鬼吉と春一番)/板谷みきょう
 
うに。」願掛け祈祷ば、してもらえばいんでねぇか。村の入り口全部サ、お札貼ってもらってよォ…。、ってな。
澄乃ってば、そんな事を村のモンが算段してるとは露知らず、吉の来るのを楽しみに待ってたんだとよぉ。

わたしの吉は どこにいる
里の小鳥よ 伝えておくれ
わたしはいまでも 待ってると
山の小鳥よ 探しておくれ
わたしはいつでも 待ってると
人の姿で帰るのか 鬼の姿で帰るのか
どちらにしても 吉よ吉よ
わたしの吉よ いつ帰る
わたしの吉よ 吉よ吉よ

その唄声が辻々を巡ってる間に、いろんな鳥達が真似をして歌う様になったんだ。キチ、キチ、キチってな。何年たったかは、解んねぇ。
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