手をめぐる文学的断章/葉leaf
発に手を動かしたところで手の眠りを妨げることはできない。指紋は畳まれながら眠りの上に堆積する。闇を透過する指の肉は眠りをわずかに着色する。手のひらの骨は眠りの境界という発明を示す。眠りは生命のような液体であり夜になると血管を通って私の脳へと移動する。それゆえ私の脳が眠っているときにのみ手は覚醒するのである。手が覚醒しているとき手は植物の放散する観念を収集するのに専心してろくに動けない。手はかつて植物だったので植物の精神の図式化に余念がないのだ。覚醒した手が自ら動くとき手を縁取っているのはもはや空間ではなく時間である。様々な持続の融解と混合により点描された時間の袋である。
友の手を認めてから友
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