手をめぐる文学的断章/葉leaf
が拍手すると私の両手はその音に操られて手のひらをぶつけ合おうとする。私の手は突如出現した矢印の方向へとざわめき立つ。だが儀礼的な拍手などごめんだ。市長の挨拶は面白くなかった。拍手の強度は賞賛の強度と厳密に一致しなければならない。だが手を叩くという半ば自傷的な行為はあらゆる中間的なものを整列させ去勢する。手を叩く音は私とすべての頂点との間に打ち込まれて色とりどりのほどける糸を発育させる。そのことに思い至って私は仕方なく拍手した。拍手する手を彩るのは光ではない。運動である。拍手する手を動かすのは筋肉ではない。気体の落下である。拍手する手を冷やすのは風ではない。過去の突端である。
私がいくら活発に
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