酔歌 - 4 / ****'04/小野 一縷
 
波に乗るように越して
緋色の眼を持つ  灰白い牝牛に会いにゆく

熊の毛の鋼鉄は自然の厳しさ 
矛のような爪 鏃のような牙 
キムン・カムイ 北限の地で冷徹な美徳
刺さる斜線の吹雪の 連射速に
月のように蒼い痣が 皮膚を熱して赤らめる 疼く

蒼い輝石に溶け込んだ銀の鉱石
その暗い眼の青さは紺 遠く深い藍
小石の中に弾ける宇宙
指輪になって ただ静か 森羅を見守る

魂は帰る 父のもとへ そして母のもとへ
時間が廻るように 
今日が昨日になる その美しく優雅に輝く 経過
獣が人に変成した いつかの その瞬間
失われた花の呼び名 今は白雪降り注ぐ湖畔
そこから飛
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