交錯詩「月」 フライハイ/森川 茂/within
 


広がってゆく まわってゆく

眠られぬ夜 今宵も月を見上げてみる

小さな墓が生まれて

それがあまりに美しいと どうすればいいのか解らなくなる

地中から蟲が

そう きみに会いたくなる

夜闇を戒める、泣かない、悲しまない

慌てて車のエンジンをかけようとするけれど

慄然と存在する

もう二度と会えぬ約束を思い出しては部屋に引き返す

ひとりあることの悲しみに浮かぶ眼を

いつも一緒に月を見上げていたから

モルヒネに浸す

月を見てもきみしか思い出せないんだ

身が固まってゆく

きみの方が少しだけ夜空に近かったよね

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