交錯詩「月」 フライハイ/森川 茂/within
満月の夜に犯罪を増やすと
言葉たちは覚醒と沈静を繰り返し
何もなかったかのような顔で再び欠け始める
空っぽの郵便受けに
その惑星は潮の満ち干にも関係があり
吸い取られていく
月経痛や出産のタイミングまで司るという
草むらが踏み固められ道となり
そこから見るこの奇跡の星はどんな風?
ケモノと旅人がすれ違う
蒼く美しいのか
霜柱を踏み潰して進む
それともやっぱり戦火に穢れているのだろうか
粉微塵にされた眼前が
そして人間の愚かさを 欲望を
朝焼けとともに空いっぱいに
あなたはせせら笑っているのでしょうか
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