中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
には綺麗で立派な巨城だったのに、一日でこんな廃墟になるなんて……」
先輩は非常に困惑した様子で私に顔を向けた。
私達はもう一度白亜の巨城の中へ入り、礼拝堂や調理場、会議室や牢屋を見て回ったが、先程までの華やかさが嘘の様に消えていた。私達はぼろぼろの螺旋階段を上がり、王女の間に入ると、此処もまた見事に寂れていて、王女の寝室に向かい、中に入ると、なんと、ベッドの上に一つの白骨化した死体が横たわっていた。
五 出口の無い森
廃墟と化した白亜の巨城の巨城が森の奥に突如として現れ、其の寝室から一人の若い女性と思われる白骨化した死体が見つかった、というニュースは大きな話題と成り、新聞やイ
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