中編小説 心と口と行いと生活で 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
間で自分の事しか考えられない人間だったと思うの。だから自分が楽に成りたいが故に、貴方の事そっちのけで睡眠薬自殺なんかしたのだと思うわ。貴方にここまで愛されているという事実にも気付かずに。人は愛される事に依って、強く成れるような気がするの。だから此の、貴方の世界で生き続けて居るのよ。私も貴方の事を愛しているわ。きっと此の愛は私の中で永遠のものだと思う。貴方が現実の世界で十一年間も睡眠薬自殺をした私だけを愛してくれた御蔭よ。だから私は、此の残りの命をかけて、貴方の事を愛し続けるわ。本当に有り難う…」
 先輩はそう言い終わると、少しだけ背伸びをして私の唇にキスをした。其の体温は、私が体感したものの中で
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