平日の青年/番田 
 
もどうでも良いと 思いながら
しかし どうでもよくないと 思い直しながら
深いため息をつかされながら
定食屋の微妙な味のシューマイを思い出しながら
川の向こうの赤色を 眺めていた頃
シュークリームを 食べていた
シュークリームは うまかった
子供のような顔をさせられたシュークリームを
これは シュークリームなんだと 食べるとき
隅田川には花火が上がっていることだろう
君の失業したばかりのシュークリームの味が
卵と カラメルソースと 混じり合いながら
卵の中に広がる 牛丼の味のように
初めて食ったときの あの生の卵のように
私の胸にはじんわり広げられているようだった

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