中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
も無理かもしれないけど、僕のことは綺麗さっぱり忘れてくれ。…その代わり、君も気付いているかもしれないけど、今日はおそらく、僕の?心の闇?のせいで朝日が昇ってこないから、君は思う存分僕と話し合える。ただし今日が最後さ…」
君の瞳から突然涙が溢れてきた。そして僕が見たこともない世界を具現化させたように、君は頭を垂れて思いっきり大声を上げた。それは僕の感情を炎のように揺らめかせ、反射的に身を乗り出させた。だが、僕は?君に触れたくなかった?。僕の心が引き留めたのである。?君?に触ってしまえば、悪しき心が自分に感染すると思ったからである。冷たくなった心の中は、その刹那に後悔し始めた。僕は瓶に入った酒のよ
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