中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
から解放されているんだ。魂が天にも昇るような気分さ。…そう言えば拘置所ではろくに煙草も吸えなかったから、無性に煙草が吸いたいね。君…、あっ、君は煙草を吸わなかったね…」
 そう言い終わるか終わらないうちに、僕は反射的に胸ポケットから君の愛用している銘柄の煙草を取り出し、君に箱とライターを同時に渡した。
「あっ…、僕の為に煙草を持ってきてくれたんだね! 有り難う!…」
 君は徐に煙草を取り出し、口に銜えて、火を点けた。
「…ふー、やっぱり旨いね! 最高だ」
「…ずっと前から思っていたんだけど、歌手なのに煙草なんて吸っていいのかい? 喉に悪いんじゃないのかい?」
 僕は君がとんでもないこと
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