中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
肌が立った。君の瞳は輝きと共にその沈黙を貫通し、文芸誌の表紙を熱しているような気がした。
「父親が憎かったからさ」
 君は両腕を膝の上に置いて、瞳の輝きを頭髪の影に隠し、僕の感情を震わせた。
「君が本当に自分の父親を恨んでいたのは分かるよ。けど…けど、幾ら何でも殺したりするのは行き過ぎだったと思わないのかい?」
 君は暫くベタ付く沈黙の後、まるでもはや死んでしまった父親を嘲笑うように呟いた。
「…僕はただ、彼に対して罰を与えただけさ。彼は─人間失格の僕が言えたもんじゃないけど─死に値する程の罪を犯したからさ。いいかい、君だけに忠告しておくけど、?悪魔?を罰せられる資格があるのは、当事者に
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