中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
て、瞼を上げると、とても長く感じられた溜め息を吐き、つるつるのフロアーに伸びる自分の影と微かに映る自分の顔を見つめ、胡座をかき始めた。僕は君が再び中腰で立ち上がって、「三月号」の文芸誌を白い棚から一つずつ丁寧に床に並べ、ぺらぺらとページを捲り始めたのをずっと立ち尽くして見ていた。?此処にいるのはもう僕の慕っていた君ではない。ただの殺人の罪を犯した男?だ。君の頬は痩せこけ、無精髭に覆われ、全身が以前より更に細くなり、瞳の輝きでしか君からは生気を感じられなかった。僕に言い様のない怒りと、悲しみが交互に胸の中に巡ってきては、その度に中々第一声を発せられない緊張感で金縛りに遭ったようだった。
君はある
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