中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
ていた。事件が発覚してからの書き込みに全て目を通したが、君を?庇う?書き込みなど一つもなかった。僕も君を?庇う?言葉はすぐには浮かんでこなかった。?事実に洗脳されていた?からだ。しかし、涙腺から体中の水分を流しきって干涸らびたような身体と感覚器官は、いつもなら常に確認するインターネットの接続時間さえ感じることもなく、正に頭が真っ白になるような放心状態がどの位続いたかも分からなかった。ただ、?自分に肉体というものが存在するということを再発見した時?に、僕は両手の指を浮き上がらせてキーボードに静かに置き、?君?の身の潔白を証明するが如く、何時間も何時間も、底のない想いをただひたすら、連投書き込みをした
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