中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
イトに入って、君のニューアルバムの検索をすると、一枚三千円ぐらいのアルバムが、その十倍以上の値段でオークションに掛けられていた。今回の事件を要約すると、今日、正午前、君のマンションに君の父親がお金をせがみにやって来て、長い討論の末に喧嘩沙汰になり、君の父親が帰る間際、硝子の灰皿で君が父親の後頭部を強打し、そのままその場で父親は息を引き取ったということなのだ。僕は、去年、君が父親の存在を憎み、そういう自分への嫌悪感について僕に打ち明けていたことを思い出した。けど…。譬え?君?がどんなに父親を恨んでいても、殺害などする次元に精神が位置づけられているとは到底思えなかった。確かに、君は?君の父親?に殺意す
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)