中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
わって、疲れと後悔で生気が無くなった自分の表情を、廊下の硝子の反射で見た。昨晩と同じように、地上は吹雪で荒れ狂っていた。インターネットで注文しても時間がかかるし、ダウンロードでは物足りなく、僕は更に落ち込んだ。その時だった。突然君のバンドの曲の着信メロディーが流れ、携帯電話を見てみると、彼女からのメールが受信されていた。
「貴方の好きなバンドのボーカルが?父親殺し?の容疑で逮捕されたってTVで報道されているわ」
 僕は一瞬、思考回路が全て吹き飛ばされた気がした。
?何??、?君が??、?父親を殺したって??

 どうやって自宅へ帰ったのかさえ記憶に無い。ただ僕の体は軽くなり、羽の付いた天
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