中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
うしても落としてはいけない単位の授業があることをこういう時に限って思い出し、食パンを口に詰め込んで、珈琲で胃に流し込み、家を出た。
地下鉄までの道程の途中で、やはり予感が的中した教授からのメールを見て、心のある一面は安堵感に満たされたが、三時限目の授業に間に合うかどうか微妙だったので、一瞬アルバムの事は忘れていた。しかしすぐに、その事が頭を過ぎり、僕は先程の後悔を改めて思い出すと、恐らく五時限目が終わった後に店屋に寄った頃には既に売り切れていて、数日待たなければならないだろうと悟った。こんなことならアルバムの予約をしておけばよかったと、今更間抜けな自分を酷く憎んだ。
最後の授業が終わっ
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