中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
ムを購入しよう?と頭に思い浮かべたのを最後に、僕の意識は途切れた。
しかし、はっ、として目が覚めて置き時計を見た時には、正午も間近で、カーテンを開けると、からっとした青空が広がっていた。僕は目覚まし時計をかけていたのだが、その音にも気付かないぐらい深い眠りに就いていたらしい。咄嗟に母親の顔が思い浮かんで、どうして起こしてくれなかったんだと文句を言う為に、急いで服を着替えて、階段を降りてきたのだが、家の中は蛻の殻だった。その幼稚じみた怒りの冷却消滅と同時に、君のバンドのニューアルバムを朝一番で買えなかったことへの後悔と、急いで店屋に行かなければ、という焦燥と、それよりも、今日の午後にはどうし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)