中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
るカウントダウンフェスティバルに行けなくなっちゃうんじゃない?」
 彼女はとても喜んでくれたが、そう僕を心配した。僕はそう言われると確かに少しばかり後悔の沼に沈み込んでいくような気分になったが、雑念(君の事)を振り払って、彼女の澄み切った瞳を穏やかに見つめた。
「いや、気にしないでよ」

「カウントダウンフェスティバルに行けなくてごめんね…」
 君は批評を中断して少し吃驚したように顔を上げ、少しの間沈黙があった後、君は人差し指で僕の左手を指した。
「気にすることないよ。本当は北海道でもカウントダウンフェスティバルをやれたらいいんだけど、なかなかそうもいかなくてね…。君の来られなかった理
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