中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
評から始めていいかい?」
君は屈託のない笑顔で僕に語りかけた。
先程までの沈鬱さが嘘のように(酒を飲んでいて気分が再び上向き加減になったこともあるが)君の笑顔を見る度に、僕の心は晴れ渡っていき、今まで重くのし掛かっていた悲しさや寂しさなどを忘れていった。僕は時には真面目に君の批評を聴いたり、時には去年の企画ツアーの時のような饒舌なジョークに爆笑したりして、楽しい時間を過ごした。カウントダウンフェスティバルは、東京や大阪でやっていたので、資金繰りのできない僕と彼女は行くことが出来なかった。去年のクリスマスに、彼女へペアリングをプレゼントした為だ。
「でも、貴方の好きなバンドが出演するカ
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