中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
ったんだから…」
「そんな言い方は止してよ…」
僕は君の言葉に、急に心が狭まってしまい、息苦しさを感じた。君の左腕の高級そうな時計の秒針が静寂の中、刻々と過去を置き去りにし、現在を圧迫死させ、未来を不安視させていった。少なくとも、僕の心と共鳴した秒針の音はそう思わせた。
「…さぁ、暗い話はもうここまでにして、お酒でも飲みながら、肴でも食べて、今月号の創作文芸の話でもしようじゃないか」
そう言うと君は、酒を一気飲みし、アルミ缶を空にして、新しい発泡酒を開け、一口飲み、床に並べられている文芸誌を一つ取った。
「じゃあ、今月号の文芸誌の中で、僕が一番気に入った新鋭作家の作品についての批評か
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