中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
ない?ミュージシャン?という立場でも、当の本人は満足していない、というか、願望が消化しきれていないんだ」
「でもそれは、?向上心?がある、ということじゃないか」
「いや、逆に心が逆向きになって、どん底に落ちたような気分になるよ。僕は本当にミュージシャンになりたくて一生懸命努力した結果、ミュージシャンになったんだけど、次第に文学の方に興味が湧いてきて、それ系の詞を書くようになった。けど、それはやっぱり?詞?という枠を超えられなくて、じたばたすることがある。それにこれまでやってきて、一般大衆とそういう文学系統の詞を好む人達のファンとの、求めているものの幅と溝がどんどん広がり、深まっているような気が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)