中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
敬していて、こうして同じ空間を共有できていることに、この上ない喜びと幸せを感じているだけなのだ。
「君には小説を書く才能があるじゃないか」
君は酒を飲み干した後、一度喉仏を生々しく上下させて、真顔な表情で僕を見つめた。
「去年見せて貰った小説、すごい面白かったよ。正直嫉妬してしまうくらい。作詞と小説を書くことは全然違う能力だとは思うけど、どうしても詞の延長線上にそれがあると思わずにはいられないんだ。だから僕は、君の才能が羨ましい。本当は、僕も君と同じように、小説家になりたかったから。でも、それは不可能なんだ。それは自分が一番分かっていることなんだ。他人には羨望の眼差しで見られるかもしれない
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